【インタビューNo.04】国際協力の道は何通りもある。あなたの経験と強みの活かし方ーー山田菜津実さん

【インタビューNo.04】国際協力の道は何通りもある。あなたの経験と強みの活かし方ーー山田菜津実さん

国際協力の業界は、世界中のいろんなバックグラウンドや考えを持った人と一緒に働けるのが魅力だと語る山田菜津実さん(以下、ナッツさん)。インフォーマルに繋がっていく社会、人と人との繋がりが結局は世界を変えるとナッツさんは言います。今回は、現在アイ・シー・ネット株式会社にて活躍される国際協力サロンのメンバー、ナッツさんにお話を伺いました。

(聞き手:渡邉 祐美)

国際協力・ジェンダー学に興味をもったきっかけ

実は、私にとってこれが一番難しい質問です。高校生の頃からぼんやりと国際協力や社会貢献に興味はありましたが、現場経験があるわけでもなく、明確なきっかけやターニングポイントがあるわけではありません。小学生時代アメリカで約6年間生活をしていたので、もしかしたら自分がマイノリティだった経験や、言語や文化が全く異なる環境にいたことが影響しているのかもしれません。幼少期に日本以外の世界を知ったことが今の自分に何らかの影響を与えているのだと思います。

大学進学後は友人からの誘いをきっかけにジェンダー学入門の講義を受け、それから恋をするようにこの学問に没頭していきました。“世の中のモヤモヤしたものを言語化してくれた学問“とも言ったりするんですけど、感覚的には”恋“のような感じで、知らずとどんどん引き込まれていきました。

間違ったことを「間違っている」、違和感を「違和感」だと言える根拠を学んだこともですが、何よりも「間違っている!違和感!」というのを声に出してもいいということをジェンダー学を通して学ばせてもらったと思っています。大学院での経験は間違いなく今この業界で頑張りたいと思えている経験となっています。あとは50ヶ国以上から集まる、いろんな経験や視点を持った世界中の仲間と勉強できたことも本当に貴重な経験でした。

現在の活動

現在は、アイ・シー・ネット株式会社のビジネスインキュベーショングループで、起業を志す方々のビジネス支援を行なっています。また、「40億人のためのビジネスアイデアコンテスト」という自社イベントにも携わっています。大人の起業家だけでなく、高校生向けのワークショップを企画し、そのファシリテーションにも挑戦しています。高校生と一緒にソーシャルビジネスについて学んだり、一人ひとりの夢からソーシャルビジネスを考えてみたりすることで、「自分の夢が社会課題解決に繋がる」ことを知ってもらいたいと思っています。

実際にみんなに夢を考えてもらうのですが、課題が解決された“その先”を考えていないことってよくあるんですよね。例えば、「貧困問題を解決したい」という夢があったとしても、「貧困が解決されたらどんな社会になるのだろう」というところまではイメージできていなかったり。そうではなく、自分が想像する社会や理想とする未来はどんなものなのかを先に考えてもらって、それを実現するためには「誰」に「どんな」価値を届けたらいいのか、道筋を立てて考えてもらえるように工夫しています。高校生たちの前に立つと自分も大人として見られるので、「この子たちにとってどんな大人であるべきなのかな〜」と考えながら、いつもやる気をもらっています!

国際協力に対する葛藤

大学院時代に不思議に感じていたことなのですが、国際協力業界に入るためには大学院を卒業するうえに、薄給もしくは無償の現場経験や国連のインターンシップを経験することが好まれています。国際協力分野を志す人がいたとしても、家庭の事情や経済的状況によってそのプロセスを踏める人々はかなり限られてくるのではないでしょうか。BOP層や新興国などの社会を良くしていくためにあるはずの国際協力が、経済基盤がある程度整っている一握りの層しか業界に入れない。このギャップや構造は不思議だなと思っていました。もちろん学問的な知識も必要で、経験もあるに越したことはないので難しいのですが…。

しかし最近では、国際協力をポップに発信する様子を目にすることが増えてて、途上国の魅力を発信することで、国際協力の見せ方に変化が生まれてきたことは良い傾向にあると感じています。そんな中で途上国の魅力を伝えつつ、そこに確かに存在する課題や深刻さ、そしてそれを解決する重要性をいかにして伝えるべきかを考えていきたいです。

だからと言って「かわいそうだから」という理由から始まる国際協力が広まって欲しくないとも思っています。問題の重さを軽減して伝えないと人が拒否することも目に見えている。“ポップ”な力を借りて世界の解決すべき課題を広めていきたいし、国際協力を広めていきたいけれど、ポップに社会課題全てを伝えることはできるんだろうか…これもまた難しいですね。

国際協力業界を志す人へ

人はそれぞれ違った環境の中で成長していきます。例えば、国際協力業界に携わる人がいる家庭で育ったAさんと、「国際協力ってなんだ」っていう家庭で育ったBさんとでは、得られる情報量も変わってくるし、業界に関して興味を持ち始めたきっかけやタイミングは大きく変わってくると思います。さらに青年海外協力隊や大学院卒業が好まれるこの業界において、その選択ができる環境や経済状況に誰もがいるわけではない。

でも、そこで国際協力への道を諦める必要はないと思います。あなたが生きてきたこれまでの人生経験で国際協力に活きてくるものは必ずあると思うし、あなたのこれまでの経験の“活かし方”を考えてもいいんじゃないでしょうか。実は私も今の会社に入るまで現場での経験がありませんでした。だけど、例えば大学時代没頭していたダブルダッチの経験からチームワークや仲間の大切さを学び、パフォーマンスである分、どう人に魅力的に魅せればいいか、当時はものすごく考えていました。

今考えれば、それって国際協力業界においても十分に活かせることなんです。様々なアクター、人を動かすためには自分たちの活動をどう魅せたらいいのか、自分自身がどうあるべきなのかって重要な視点だと思いますし、実際に当時の経験が今の自分に役立っていると思います。

それから、この業界は特に将来のビジョンを考えるのって難しいですよね。取り組みたい課題やアプローチがピンポイントで決まってるってすごいな〜と思うけど、決まってなくてもいいものなのかなと思います。国際協力業界という、状況がめまぐるしく変わる世界において、頑なに自分の思い描いたビジョンを変えないっていうのではなく、臨機応変に対応する力も必要なのかなと思います。

おわりに

今後はどうしていきたいですか?と尋ねると「んー、爆笑して生きていきたい!」と言葉を残したナッツさん。今回の対談も、想いのこもったお話を繰り広げながらも、最後はお互い“爆笑”で終わった楽しいひと時でした。世界中の、地球上のすべての人と爆笑できる、そんなあったかくて、生きやすい世界を作っていきたいですね。

山田 菜津実 (やまだ なつみ)

アイ・シー・ネット株式会社
ビジネスインキュベーショングループ

プロフィール:
1992年生まれ(26歳)。座右の銘:”If you can’t love yourself, how in the hell your gonna
love somebody else.” 学部時代にジェンダー学に一目惚れし、国際協力の中でも女性の生き方や人生に関わることに熱意があることに気がつく。2016年にイギリスへ渡り、UEAにてMA Gender Analysis in International Developmentを専攻。大学院卒業後は、ソフト系開発コンサルティングファームのアイ・シー・ネット株式会社へ就職し、新興国や途上国の発展にビジネスを通して関わっている。コンサルティングスキル・ファシリテーションスキルを磨くため日々修行中。

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