【インタビューNo.01】アフリカの人々が自らの手で成長していくお手伝いをするためにーー青年海外協力隊・角正美さん

【インタビューNo.01】アフリカの人々が自らの手で成長していくお手伝いをするためにーー青年海外協力隊・角正美さん


必然的に「アフリカに生きる!」と心に決めて生きてきたという角正美さん。

現在タンザニアで様々なプロジェクトに関わりながら、村に住む人々との出会い・葛藤・そして活動のやりがいなど、等身大の想いを語っていただきました。

(聞き手:下里夢美)

国際協力に興味をもったキッカケとは?

物心ついた頃から漠然と「途上国で困っている人のために働きたい」という想いを抱いていましたが、高校1年生の時に「アフリカの可能性」に言及された記事を読み、これまでの考えが一掃されました。ただ、貧しく可哀想な大陸だと捉えていたアフリカが、“未来の可能性に溢れた大陸”だと知り、衝撃を受けたんです。

アフリカ開発の鍵はアフリカ自身が持っている。

「アフリカの再生」こそ「世界の再生」であり、「人類の再生」に繋がる道。

この一文を目にしたとき、不思議にも自然と将来「アフリカに生きよう!」と決意していました。

しかし、「アフリカで働きたいな」という思いを抱くも、「アフリカを変えたい」わけではない。外国人が日本にきて日本を変えると言われてもあまりしっくりこないように、その国はその国の人が変えていくことが重要であると感じるようになりました。

そのためには、若い世代や子どもたちが携わる「教育」に携わることが必要と考え、高校卒業後は創価大学の教育学部に進学。実際に教育実習で現場へ入る経験もしました。

そこで感じたのは、いかに教師一人の影響が大きいか、ということ。アフリカにとって、外部の人間が教える立場で携わるのではなく、アフリカの人々が自らの手で成長していくお手伝いができたら、と強く感じ、子どもや教師を取巻く環境、教育行政や制度作りの部分に携わりたいと思うようになりました。

そこで、まずは日本の行政機関で経験を積もうと、卒業後は広域自治体(大阪府庁)の行政職員として勤務することにしたんです。

行政の現場で働き、様々な経験を積ませてもらいましたが、今後本気でアフリカで働くならば、「アフリカが今何を求めていて、自分に出来ること・出来ないことは何か」を早い段階で知る必要性を感じ、就職後3年で大阪府庁を退職しました。

その後は、青年海外協力隊に応募し、タンザニアでのコミュティ開発局員としての現在の活動がスタートしました。

「助ける→助けられる」といった一方的な関係ではなく、「アフリカの人たちが自分たちの力で、自分たちの国をよくするために私が出来ることは一体なんだろう?」と問い続けて、10年。今まさに協力隊の現場で、その答えを探している真っ最中です。

現在(これまで)の活動内容

タンザニアのイリンガ州ムフィンディ県にあるイフワギ郡事務所にて、コミュニティ開発局員として日々活動しています。

要請された際の活動の目的は「住民の収入向上と村の地域活性化」でしたが、地域・配属先の課題を調査する中で、住民たちの自発的な活動のサポートを通し、地域開発を進めたいと思うようになりました。

ボランティアの一人として、「住民」と「行政」、異なるアクターを繋ごうとの思いで、活動を進めています。具体的な活動内容は以下の3つです。

1.住民グループの活動サポート


郡に約100以上ある住民グループのほとんどがマイクロファイナンスを行っているものの、一つ一つのグループを回ってみると、情報把握やサポートにまで手が回っていない課題が見えました。

各グループの状況にあわせながら、グループ登録や助成金申請の手続きをサポートするほか、グループが小規模ビジネスを始められるよう、ワークショップ等を開催しています。

2.編み物教室の開催


「女性の就業支援をしたい」との思いを持つシングルマザーとの出会いをきっかけに、編み物教室の開講をサポートしています。アイデア提供や行政との仲介役、販路拡大などの面での協力が主な役割です。

0から始まった教室準備も無事に進み、今年7月に教室を開講しました。生徒は3人と少ないですが、講師のママと二人三脚で一歩一歩進めています。

3.イリンガバスケットの販路開拓


任地イリンガで自生する水草から作ったバスケットの販路開拓を目指しています。住民たちの間では食料用の粉の保管のために利用していたのですが、現在は外国人観光客向けのお土産として出回りつつあります。

元マラウイ隊員の方より、イリンガバスケットを日本で加工、販売したいとの話をいただき、品質向上、生産者のグループ化のためにどうすればよいか…現在試行錯誤しながら活動中です。

国際協力をするなかでの葛藤、苦労とは?


国際協力に携わる中での葛藤は日々様々ですね。

いくら現場に入り込み、現地の人との関わりを密にしたとしても、人の生活は三者三様のため、全てを知り尽くすことはできません。「この活動が本当に現地の人たちにとって(本当の意味で)プラスになっているのか?」という、答えのない問いに、いつもモヤモヤしながら活動を進めています。

また、村に住む大半の人たちにとって、私は初めて会う日本人。

フィールド調査をしにやってきた学生くらいに捉えてる人もいれば、多額の寄付をしにきた先進国のボランティアと思い込んでいる人もいて、赴任当初はポジションを確立するのに苦労しました。

さらに、生まれ育った環境が異なれば、文化や価値観も異なるため、まだまだ言語の疎通が十分でない中で、お互いのことを理解・信頼しあい、一緒に仕事を進めていくことの難しさを感じています。

ただ、その難しさが、逆に現地のことをもっと知りたい、言語も極めたい、とのモチベーションになっていることは確かです。

将来実現したいこと

高校1年生の時に「アフリカだ!」と思ってから26歳までの10年間、本を読んだり人から話しを聞いたり、テレビをみたり、アフリカになんとか近づこうと必死でした。しかし、机上からの情報は、私じゃない誰かが切り取った世界を見ているような感覚で、それは本当に事実なのだろうか、というモヤモヤを拭いきれませんでした。

実際に自分の足でタンザニアにやってきて、周りは全員タンザニア人っていう環境に置かれたときに、自分の目で見るものや肌で感じたことが、タンザニアのリアルだと日々実感できることが今はとても嬉しいです。

住民の生活と切っても切り離せない行政のあり方が、今後の国の方向性を決めるのでは…?と日々考えています。日本で学んだ経験も活かしつつ、地域に密着した行政のオフィサーたちが、住民の自発的な活動をサポートできるような仕組みづくりをしていきたいです。

タンザニアで暮らして1年。良い面も悪い面もひっくるめて、「やっぱりアフリカが好きだな」と、感じています。「アフリカに骨を埋めたい」という気持ちは変わりませんが、隊員の任期終了後、NGO勤務か、大学院進学か…ということも含め、タンザニアに拠点を置くか、他のアフリカに移るかは現在悩み中です。

ただ、学生・社会人時代で壁にぶつかった時、学ぶ・働くモチベーションは常に“アフリカ”でしたし、これからもそれは変わりません。今後も一生をかけてアフリカに関わっていくべく、日々いろいろなことをタンザニアで経験していきたいと思います。

蛇足ですが…長い将来の夢として、アフリカ54ヶ国制覇&牧場併設のゲストハウス経営し、老後を迎えたいと思っています!

おわりに

タンザニアに腰を据え、現地の人々と同じ目線で日々活動する彼女には脱帽です。

様々なことに精力的に取り組むなかでの成果がとても楽しみですね。現地のリアルな声に、今後も注目していきたいと思いました。

角 正美 (スミ マサミ)

青年海外協力隊(2017.10〜2019.10)コミュニティ開発 / タンザニア

プロフィール:
1991年生まれ(27歳) / 大阪府出身。大学では教育学を専攻し、小学校の教職課程を取得。在学時の4年間、パン・アフリカン友好会に所属し、アフリカの文化、歴史、社会などを研究。本団体主催のスワヒリ語スピーチコンテストで実行委員長、弁士を務める。大学卒業後、広域自治体(大阪府庁)の行政職員として3年間勤務後、現在は青年海外協力隊としてタンザニアに赴任、コミュニティ開発に携わる。

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